なんか向こうも喜んでくれていたので、定期的にこれから通おうかと思っています。

思い立ったが吉日。きっかけは、問い合わせのメールを入れたことになるのかな。
かつては楽しくてやっていたのが、取り巻く古い体質が嫌になり遠ざかっていたという「相撲」。
- 今年はそれを「教える」ことで復活させてみたい。
- そこにある楽しさを伝えたい。
- 自分の経験を活かせる、最適な場所はどこだろう。
動きながら考えられる大ちゃんが、今回、白羽の矢を立てたのが東京大学。
一旦、まとめてばーっと聞き、すこし書き留めてみよう。
目次
土俵は丸いか四角いか

大ちゃんは、2歳から相撲を取っていたという。
岩手県の豪雪地帯、八幡平(はちまんたい)で生れ育った。
始めたのには、相撲好きのじいちゃんの影響もあるそうだけど、最初から芽を出せといわんばかりに周りの土壌が揃っていたのだ。
なんせこの町を初めて訪れる人は、日常の中に相撲が溶け込んでいる景色に驚くらしい。
とりわけ旧西根町というところは、「相撲の町」といわれるほど相撲愛の熱い場で、公園、神社、町営の相撲場、高校から果ては保育園に至るまで、そこら中に土俵があるそうだ。
中には、自分のうちに土俵を作っている人もいるらしい。
盛岡藩と南部相撲。その昔から、相撲が独自の発展を遂げていった歴史があるんだね。
昔は土俵が正方形、四角かったとか。
もっと色々知りたい方にはこの話を。

「イケー、今日は羽毛布団だ」相撲が生活の一部だった頃

文字通り、老若男女を問わず、ここ八幡平では相撲が生活の1部になっているので大会も多い。
その気になれば、毎週末でも試合に出られたそうだ。
特に楽しみだったのは、夏になると開かれる神社の奉納相撲。
小中高生、一般の大人たちがこぞって参加するらしく、勝者が手にする懸賞金もお金に限らず、電気屋からは家電、酒屋からは一升瓶、布団屋からは布団一式が出たりとバラエティに富んだもの。
力自慢の者なら、勝ち抜き戦に出ることで、3人負かせば3000円。5人倒せばさらにもっと。
5000円の参加日当もつくし、差し入れやらなんだで、飲み食いもじゃんじゃん出来てしまう。
映像出典元:YouTube 八幡平市の公式サイト「hachimantaifan(八幡平FAN)」
親たちの声援を背に「狙いは羽毛布団だあー」と奮闘したりと、子供たちにとって、大会に出るのは魅力的なバイトのようなものだったそうだ。
相撲をやっているときは、脇毛が生えない。空手の場合は股にも生えない。
やがて、ぐんぐん体が育ち力もつくと、頭角を現した大ちゃんは、高校のインターハイでベスト8に選出された。
団体戦のメンバーは、甲子園みたいに各地から青田刈りした選手の寄せ集めではなく、みんなが揃って八幡平。
同郷の仲間たちだけで挑んで、ここまで行けたことがうれしかったそうだ。
相撲一色の生活だったので、大学受験はスポーツ特待生枠を活かして上京。
「剣道」でも進学先を選べたそうだが、ここはひとつ心を決めて、「相撲部」の看板を掲げた寮での生活をスタートした。
入学した拓殖大学は、学生相撲一部リーグのトップ校。
相撲部だけで120年ちょっとの歴史がある、歴代の優勝回数が2位の強豪だった。
ちなみに、去年の全日本選手権(社会人も学生も出場する大会)では、同大学の卒業生で現在コーチ業をしている人が、優勝をしたそうだ。
相撲には芸能の一面があって、「昔の人はこれで強くなっていたんだ」の押しつけが、未だしっかり残っているらしい。
すべてが監督の気分次第で進んでいく体制は、過酷を極め、こすれる脇の下に毛が生える暇もない世界だったという。
練習中は、雰囲気的に水も飲んじゃあダメ。
終わりの見えない時間の中で、力を出し切れば後がない。
それが毎日のことなもんだから、防衛本能が働いて、「できる」と称される人ほど周りへの余力の隠し方を身に着けていく。
そして下手をすると自身をも誤魔化せる、ある種のヤーな達人になっていくのだ。
退部の道を選べば、学費の免除は取り消され、経済的な負担が重くのしかかる。
「前に進めば虎と出会い、後ろに進めば熊と出会う」
これが、パワーハラスメントに出くわしたスポーツ特待生の抱えるジレンマだ。
強くなるための練習とはなにか。
他の競技との決定的な違いが分かったことや、またある時、気絶をする寸前に、隙をついて飲み干したアミノサプリの500ccが、これまで食べた中で最高においしいものの記憶になったこと。
総じて辛い4年間だったが、その気づきは、大ちゃんの中で大きな収穫になったのだった。
相撲の良いところはなんだろう
廻し(まわし)は学校でもらえるし、必要でもバスタオル一枚くらい。
それでいて全日本クラスの人に教えてもらえる。
剣道はお金が掛かる。
「竹刀ばっかり壊しているんじゃない、山で竹取ってこい」とよく言われてました。
相撲を取るうえでの難しさは
たとえば張り手という技。これなんて、手の振り幅の大きさでオーケーだったり、ダメだったり。
基準がどこだかわからない。
足技なんかでも、腹部と胸は蹴っちゃいけないけれど、「なら他のところはいいのか?」となると「そんなの考えればわかるだろ!」と返ってくる。
他の格闘技に比べて、やっぱり独特。
色んな面で「誰でもわかる基準がない」ことですね。
東大相撲部の良いところは
週に3回。文武両道でやる気がある。
自主練をしている者もいる。
今の彼らの実力は、5年連続で3部リーグの決勝までいく状態。
自分が関わることで、2部に定着できることを目標にしたい。
横須賀の防衛大学相撲部がライバルで、大将戦にもつれ込み、ぎりぎり負けてしまう、あと一歩のところにいる。
「夏合宿がつらい。4日連続がとにかくきつい。」という声を聞くので、週3の練習の内容強度を上げていきたい。
今のままでは、「稽古のための稽古」の状態。
圧倒的に稽古不足。
でも雰囲気がとてもいい。監督や部長が来てもワイワイ楽しいのが一番。
勉強のできないことが、コンプレックスな部員もいて、四股名(しこな)が「二浪丸(にろうまる)」。
自分で四股名をつけるのが、先ず、おもしろいし、2年の浪人後に合格をしたからという粘り強さもいい。
今年は留年もしそうだから、そうしたら「1留(一流)の2浪丸」。
勉強のできるできないなんて、東大生だっていうだけで十分だろうに。どんな世界にも上には上がいるもんだなあと。
二浪丸の目標は、学生選手権で個人戦の決勝トーナメント出場だ。1年生の彼には、まだあと3回チャンスがある。
東大相撲部の部長で教授の新田先生と知り合えたのも、たのしいです。
実力もたぶん歴代の東大相撲の中で1番なのではないかなと。
完全に相撲マニアですね。関連本も出している。
話しを上手く伝えられるから、練習中の難しい動きを言葉で説明できるんです。
今、学生たちに相撲を教える時、意識していることは
これは頂けない。少なくともちゃんと廻しをつけて、一緒に稽古をする。
教え方は、相手によって向いたスタイルを提案している。
こだわりの強いのもいるが、否定はしない。たのしくやってもらいたい。
それと、毎回ひとつ技を教える。使っても使わなくても、知っていてもらうだけでも良いので。
例えば昨日伝えたのは外無双(そとむそう)。応用として、モンゴル相撲にもある技で。
ちゃんとした「筋トレ、体作り」も取り入れていきたいです。
大相撲でも青森出身の力士は強い。
漁師は気性が荒いし、船に乗っているからか足腰が粘っこい。
モンゴル出身の力士も馬に乗っているから強い。
とにかく、一緒にやって楽しい気持ち。これが大事。
それを無くさないで、工夫をしながらしていきたいです。
思えば、この5年くらいの間に、大ちゃんからは色々刺激を受けながら教わってきているなと。
体づくり、押忍の精神、恐怖の千葉合宿、時代錯誤のスポーツ指導。
この辺りの話は、またあとで。
つづく2ページ目では、3ヶ月後の様子などを伝えるよ。